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PASSPO☆森詩織ちゃんとその他のことに関する日記

槙田紗子活動休止発表に至るまで/PASSPO☆ワンマンフライトツアー 2015 More Attention@4月4日 EX THEATER ROPPONGI

この後に続く文章は2015年4月4日に開催されたPASSPO☆ワンマンフライトツアー 2015 More Attentionの最終公演のライブレポとして、2015年4月9日に書かれたものです。

諸事情により公開見送りが決定したため、時期は逃してしまいましたが、一切変更せず、そのまま載せておきます。

もったいない精神の発露です。

今はまた、別のことを考えている部分もありますが、当時の記録として読んでいただけたらうれしいです。

PASSPO☆とは

PASSPO☆とは、どんなグループなのか。

2009年の結成から活動6年目に入り、現在のアイドルシーンではベテランといっていいキャリアを重ねてきた彼女たちの魅力を一言で説明するのは難しい。

インディーズ時代の名曲「Pretty Lie」のようなシンプルでさわやかなラブソング。

オリコン1位を獲得したメジャーデビューシングル「少女飛行」での、アイドルだからこそ歌える未来への希望。 エアライン3部作として発表された「Next Flight」や「WING」などのゴリゴリのロックなサウンド。

対バンでもおなじみの「マテリアルGirl」や「STEP & GO」といった楽曲で見せる爆発力のあるパフォーマンス。

個性豊かなメンバーそれぞれの歌やダンスや、チャラいのだかガサツなのだかわからないけれどもバカバカしくて楽しいMCを思い浮かべる人もいるだろう。

しかし、それでも、あえて一言で言うならば。

2015年4月4日にEX THEATER ROPPONGIでファイナルを迎えた「PASSPO☆ワンマンフライトツアー2015 More Attention」は、クルー自身がその問に答えるべく始まったツアーだった。

More Attentionツアー開始前の期待と不安

1月1日に開催されたワンマンフライトでの、奥仲麻琴の卒業で幕を開けたPASSPO☆の2015年。川島小鳥を迎えた写真集や「仮面ライダーウィザード」へのヒロイン役での出演など対外的な仕事も多く、グループの顔でもあった彼女が抜けた後、グループとしてどのように変化していくのか。

1月、2月は対バンへの出演はしたものの、数曲のみのパフォーマンスに限られており、「これからのPASSPO☆」のフライトでのお披露目はツアーの開始を待つこととなった。

そんな中、事前にブログなどで公開されたツアーグッズや「今回のツアーの注目ポイント」から少しずつ明らかになっていく「これからのPASSPO☆」。

グッズではCAのコンセプトを活かした牛と鶏(「Beef or Chicken?」)のアメリカンコミック風のイラストをあしらったツアーTシャツをはじめ、女の子が普通に使えるかわいいアイテムを揃え、メンバー直筆の「推しT」のオタク感に慣れたパッセンジャーを驚かせ、「これからのPASSPO☆、これぞPASSPO☆、な新曲」や「楽曲の新たな良さを発見できるかも!? PASSPO☆青春白書」などの注目ポイントの情報でも期待をあおった。

「HONEY DISH」という結晶

そして迎えたツアー初日の3月7日。柏PALOOZAでのフライトを終えて会場から出てきたパッセンジャーの「これはこのツアーとんでもなく楽しみになってきたぞ!」という上気した顔がすべてを物語っていただろう。

事前に予告されていた原点回帰のアメリカンガールズロックな新曲「HONEY DISH」はダイナーのコスチューム風の新衣装にもぴったりで、フライトの客入れ時にも使われているアヴリル・ラヴィーンを思わせる軽快なメロディと、新しい彼氏を「味見」したばかりで恋のジェットコースター大暴走中の強引かつハッピーな女の子を描いた歌詞と振付は、まさに「これぞPASSPO☆」と言える一曲だった。

他にも、グループのロゴマークから、バタ臭くてかわいいCAのイラストにリニューアルされたバックドロップ(ステージ後ろの垂幕)や、アレンジし直された既存の楽曲をアメリカの恋愛コメディ風のストーリーに組み込んだ「PASSPO☆青春白書」のコーナーなど、「こういうのがやりたい!」「もっとやりたい!」というクルーの声が聞こえてくるような、アイデアの詰まったツアーがスタートしたのだった。

ツアーファイナル・第1部

4月4日、ツアーファイナルのEX THEATER ROPPONGIフライトは2部構成で、1部はこれまでのツアーの総決算。草食系な男子に対して「セーフティラインを踏みこんで愛してよ!」と迫らんとする「キャンディー・ルーム」で幕を開けたフライトは、ツアーを通してブラッシュアップしてきた「青春白書」を経て、3月29日の甲府CONVICTIONでのフライトで初披露された「いたずら Rock'n' Roll」へ。

フライト中盤、派生ユニットはっちゃけ隊による「気分はサイコーサイコーサイコー」では、4月に誕生日を迎える安斉奈緒美藤本有紀美へのパッセンジャーからのサプライズ企画が行なわれ、会場が赤と青のサイリウムと、ダンボールで作られた二人にちなんだキャラクターで埋め尽くされた。

その後、ミスiD2014の中村インディアによるファンベール(扇子の先にひらひらした布がついたもの)を使った振付アレンジが行なわれた「Shang Shang シャンデリア」や、同じく中村インディアによるベリーダンスアレンジが加えられた「君色のサンバ」などを披露。 そして「HONEY DISH」「いたずら Rock'n' Roll」と同じく、5月13日発売予定のアルバム「Beaf of Chickin?」に収録される新曲「Fairy Tale」の初披露。PASSPO☆ではめずらしく孤独や静けさを感じさせる曲の振付は、これまでもいくつかの曲を手がけてきたメンバーの玉井杏奈によるものだと説明された。

本編最後は、このツアー、そして今のPASSPO☆を象徴する「HONEY DISH」。この曲が、2015年元旦の奥仲麻琴の卒業を控えて、クルー同士で年末の温野菜に通い、グループのこれからのことについて皆で意見をぶつけ合ってまとめた「アメリカンガールズロック」というコンセプトから生まれたものであることや、そのコンセプトを受け取ったサウンドプロデューサーのペンネとアラビアータが、クルーのイメージを完璧に表現したものであること、「奥仲麻琴が抜けてダメになるのでは」という声もあるけれど、この曲こそがPASSPO☆であり、この曲で楽しんでいる姿を来てくれた人に見せるのが楽しくて仕方がない、ということは何度となく語られてきた。

この日も、安斉奈緒美の「皆さん、楽しんでくれますか! 飛び跳ねてくれますか!?」という煽りからの弾けるようなパフォーマンスで、第1部の本編を締めくくった。

ツアーファイナル・第2部

第2部では、「HONEY DISH」や「青春白書」など、これまでのツアーの流れを踏襲しつつ、PANTHER(Gt)、KENTARO(Gt)、$pyke(Ba)、HIMAWARI(Dr)、ペンネとアラビアータ機長(Gt)のバンド・The Ground Crewと共に全編生演奏による迫力あるフライトが繰り広げられた。 1部以上に激しいフライトになった第2部のアンコール明け、新曲「Fairy Tale」のバンドバージョンの披露の後、ツアーの追加公演の告知が終わると、根岸愛から「実はもうひとつ大事なお知らせがあります」と告げられた。 槙田紗子本人と、それを受けて玉井杏奈から語られた言葉の詳細はこちらに譲るが、追加公演の5月31日をもって槙田紗子活動休止の報告だった。

しんみりとした空気が苦手な彼女たちらしく、突然の発表に衝撃を受けるパッセンジャーに発破をかけたり、バックバンドのメンバーとミニコントを繰り広げて和ませる場面も見られたが、クルーが最後の曲「『I』」のフォーメーションへ移動を始めると、槙田紗子の担当カラーである黄緑色の誘導灯(ペンライト)を持ったパッセンジャーが会場前方に集まり、歌い出しと同時にステージ中央を照らした。

「『I』」はPASSPO☆というグループそのものを歌った曲だが、「ヒロインじゃなくても きっと輝ける『私』を見つけて」という歌い出しが、いつもと違った意味に聴こえた。

「2009年からあっというまのEveryday」「喜怒哀楽をともに築いたFamily」「ずっとずっと一緒だから」。

偶然か必然か、この日はこれまでにPASSPO☆を卒業した佐久間夏帆奥仲麻琴の姿も会場に見えた。ステージと2階席との間を繋ぐ、グループを卒業しても続くPASSPO☆という絆が、EX THEATER ROPPONGI全体を包んでいたようにも思う。

5月31日へ向けて

ステージでの活動を休止する槙田紗子も、フライトの演出や振付などで、これからもPASSPO☆に関わり続けるつもりだと言う。5月31日以降も、槙田紗子の匂いを感じることは出来るだろう。

メンバーが退場した後に流された動画では、卵のビジュアルと共に、「5月31日に新プロジェクトが孵化」することが発表された。

アメリカンガールズロックに乗せて繰り広げられるPASSPO☆という群像劇の新しいシーズンのスタートに期待したい。